自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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18出し、社会的剰余を福祉や教育や文化的な活動に配分するというものでした。グローバル資本主義時代を越えて、そこに新たな地平を拓くためには、「地域」というものへのまなざしが必要なのだと思います。私たちは、外へ外へと拡散していく意識を、もう一度生活や生命や、それを取り巻く自然環境へと回帰させる必要があり、だからこそ、もう一度、〝開くために閉じなければならない〟のではないかと思うのです。暮らしの場である「私のまち」すなわち生活圏の機能を守り、更新し、あるいは改良し、そして発展させていくことは、グローバルな世界に門戸を開く際には欠くことのできないソーシャル・リスクマネジメントだと思いますし、それなくしては嵐の大海原を彷さまよ徨ってしまうのではないでしょうか。他の先進諸国に先駆けて不可逆的な人口減少を経験することになった日本だからこそ、新時代における地域主義と、グローバル化する世界における内発的発展論を、共同体意識や場所とのつながり意識を保つことのできる「地域」で、探求していかなければならないのではないか、そのように思うのです。それはまた、日本から世界に発信する、人類の持続可能性革命と呼べるものではないかと思っています。●〝まちづくり〟の世紀私たちは、日本の21世紀は〝まちづくり〟の世紀であるべきではないか、と考えます。不可逆的な人口減少を伴う高齢社会と

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