自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
126/132

124今回のセミナーは、そのような現代において、農業者の組合が、どのような方向につくりかえられていかなければならないかを模索する、第一歩を踏み出そうとするものとして、大きな意義をもっている。産業労働者の「組合」は、新自由主義を前にしてデッドロックに乗り上げてしまっている。それがもたらす極端な経済格差の異様な進行に、対処することができずにいる。新自由主義政策をとると、経営者は自分の所得を自己裁量で決めることのできるシステムを発達させることができる。そうなると、人口の一パーセントがその国の富の数十パーセントを独占することも可能になり、現にいま、それは現実のものとなっている。この格差は、労働者といわず農業者といわず、すべての働く者たちを苦しめている。こういう時代に、農業者の組合はどのような方向に向かって自己再生を図っていったらよいか。これが今回のセミナーの隠れた主題である。農業者の組合を再生させるための第一歩として踏み出していかなければならない。その第一歩は、もうじっさいにいくつかの地方組織において歩みだされているのではないか。そのことは愛知県のJA組織で、意識的に自覚的に踏み出そうという動きとなりはじめている。そのことを表に引き出してみようとするのが、今回のセミナーであった。現代の世界が直面している大きな問題のひとつは、極端な格差の拡大による資本と労働の対立をどのように乗り越えていくかということにある。経済格差の解決は今日の世界の抱える最大の

元のページ  ../index.html#126

このブックを見る