自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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123うになる。この政策の主眼は、福祉を縮小させ、古いかたちの競争的市場主義を復活させることによって、構造的デフレからの脱却を計るところにあった。このために規制緩和と金融のグローバル化が進められるようになった。競争原理を復活させるために規制緩和し、金融をグローバル化することによって、新自由主義は資本主義の危機を乗り越えようとした。ではこの大きな流れのなかで、組合はどうなっていったのだろうか。まず、組合は資本と労働の妥協の上に自分を位置づけるようになっていたために、新自由主義にたいする有効な抵抗原理となることはできなくなっていた。いったん資本システムの歯車に組み込まれたものは、ふたたび古い資本主義の競争原理が台頭してきたとき、有効な対抗となりにくいのである。 その動きのなかで、農業者の組合はどういう影響を受けることになったか。規制緩和はTPPに象徴されるような農産品の国際的な輸入自由化というかたちをとって、農業者の前に大きな問題をつきつけてきた。また金融のグローバル化は、農業者の協同組合そのものの金融化となってあらわれ、金融グローバリズムの運動に直接つなげられていくようになった。このようにして、労働者と農業者の「組合」は、資本の大きな運動のなかで、違ったあらわれをとりながらも本質を一つとする、大きな、危機的な曲がり角にさしかかっているのである。

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