自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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118 世界中でいま、さまざまな領域での「組合」が、大きな曲がり角にさしかかっている。もっとはっきりと「危機に直面している」といってもいい。近代の組合というものは、十九世紀にできた。十九世紀に資本主義は競争的市場主義にもとづいて発達した。そのとき、労働者と資本家の対立がおこった。労働者は自分の労働を商品にした。競争的な市場主義では、労働者の賃金の抑制がおこなわれ、余剰は利潤にまわされた。その結果、労働者の生活は圧迫され、そこから資本と労働のあいだの対立が激しくなったのである。労働者の組合はその対立を調停するために生まれた。これが発端となって近代の組合のかたちがつくられていった。 組合というのは、アソシエーションassociationの訳語で、共同体(コミュニティ community)とはっきりした区別をもつ。もともと労働者は、農村部から都心に集中してきた人々の集団である。「組合」の未来を開く ~あとがきにかえて~明治大学 特任教授同大学野生の科学研究所 所長中沢 新一

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