自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
117/132

115 20代くらいから始まる若い世代が、今、農業、あるいは食べることに非常に深い関心を持ち、まともに考えようとしています。それはお米を育てることだけではなく、動物を殺して肉を食べることについても、今まではわりあいそのことは意識に上らせないような社会だったのですが、若い人たちの中にはそのタブーを取り払って、人間が肉を食べるとはどのようなことなのかというところまで踏み込もうとしている人たちがいっぱい出てきています。これはたしかに意識が大きく変わりはじめているのだと思います。 それと同時に、農村部に蓄積された文化や精神の膨大な情報量があります。それを河合組合長が「社会共通資本」という言葉でお話しされました。そうしたものは、高齢者の中に蓄積されているけれども、これを若い人たちに、未来に向かってどうやってつないでいったらいいのかという問題まで発生している。ある意味で言うと、高齢者、若者、この二つの〝極〟のようなものが、今の日本の農村問題の最も重要なポイントになっていることを、今日は強く感じました。 この問題に焦点を合わせて解決を図っていくと、意外と、解決策が見えてくるのかもしれないという気がしました。その意味では大変有意義な会になったと思います。川井:中沢先生、ありがとうございました。時間になりました。このあたりでディスカッションを終了させていただきたいと思います。本日は、ご登壇いただきました中沢先生、河合組合長、早川先生、澁澤先生、そしてセミナーに参加してくださいました皆様、本当にありがとうございました。

元のページ  ../index.html#117

このブックを見る