自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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113ティの構築という視点も交えて、澁澤先生、何かひとこといただけないでしょうか。澁澤:ずっとお話を伺っていて、私もいろいろなことに気づかせてもらいました。うちの活動に人材育成で入ってきている、長野県の地域の若い連中がいるのですが、彼らが三種の神器のように必ず関心をよせているものは、玄米食、味噌と醤油と豆腐の自給、薪の自給なのです。これが不思議と今、地域に入って来る若者の共通項です。それにプラスして、先ほど河合組合長がおっしゃった集落にどう入るかというお話に関連しますが、要するに、そこでの人間関係ですね。 彼らにとっては、何かそれらが〝生きる力〟のベースのような存在になっているのですが、これを商品にできないかなと思うのです。農産物が商品ではなく、〝生きる力〟のベースの商品化です。もともとは、CSA(*10)といわれていた提携農業というのがあったでしょう。まさにあれは消費者と生産者が一緒になって一つの商品をつくり上げた例です。 そのようなかたちができて、たぶん今は生産者の顔は見えるようになったのですが、消費者の顔は見えなくなってしまった。消費者はみんなネット購入するので、生産者は誰が買っているかもわからない。安心・安全をやたら求めて、トレーサビリティだ何だとうるさいことを言うのだけれども、自分たちの顔を見せなくなってしまったのです。逆に消費者に、自分たちの顔を出させる。それで生産者と消費者が一緒になって本当に〝生きる力〟のベースとはどういうものかを考えて商品化していく。そういうことがすごく楽しいのではないかということを、お話を伺っていて感じました。(*10) Community Supported Agricultureの略

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