自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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98の後継者の問題から急にシフトして申しわけないのですが、中山間地域が長い間抱えている大きな問題の一つとして、医師不足があります。足助病院もいろいろ課題を抱えていらっしゃると思いますが、あの地域で医師としてやっていくというのは、かなりしんどいことでしょうか。早川:それは不徳の致すところで、私たちの地域というか、私たちの病院自体に魅力がないと、やはり人は集まらないと思います。ある意味、やむを得ない面もあるのですが、だからこそ努力するということがバネになっていると思っています。 例えば、60歳以上の人がどうしてIターンして来るかというと、そこにやはり医療的な安心感があるからだと思うのです。 住む人たちがいるから医療があるのか、医療があったら人が住んでくれるのか、どちらが先かわからないのですが、とりあえず今は、ある程度の医療を用意すれば安心感があるだろう、だから人が来るのだと。こうした話を地域の人たちに申し上げています。 ただし、ことはそう簡単ではなく、医師を集めるためには何か興味をひくものがなければいけない。それで、僕らは今のところ、「予防医学」的なところで興味を持っていただこうと言っているわけです。 先ほど「地域の人たちが参加する病院」と申し上げました。診療所が少ないものですから、地域のほとんどの方が当病院にお見えになるのですが、参加するというのは、病院をうまく利用するということです。健康を守るために、地域の方が、2か月または半年ごとに、元気であることを自ら報告に来ていただくと、お薬を出す。血圧、糖尿病などのコントロールで外来に来て報告することで健康管理をする。ですから、生活習慣病の治療というのは、予防医学の一つ

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