医療・賠償

医療過誤、医療事故に関する文献的考証-「医」の理解と「法」の主張の狭間-

発表者 研究員 香川 栄一郎
発  表 調査研究報告書 2007年3月


概要

目次
  1. はじめに
  2. 総論
    • (1)「医」の理解
    • (2)「法」の主張
  3. 医師の説明義務と患者の自己決定(インフォームド・コンセント)
    • (1)「医」の理解
    • (2)「法」の主張
    • (3)「患者」の理解
  4. 医師の治療と結果の因果関係
    • (1)「医」の理解
    • (2)「法」の主張
  5. 医療水準
    • (1)「医」の理解
      • ・「医」からの批判的見解
    • (2)「法」の主張
      • ・「法」からの批判的見解
    • (3)今後予想される問題点
  6. 狭間を埋めるために
    • (1)「『医』が知るべき『法』の現実」
    • (2)「『法』が知るべき『医』の実態」
  7. おわりに

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1.目的

生涯のうち、医療機関で医師の治療を受けない者はまず皆無であろう。医学の進歩や医療の恩恵に与り、健康を取り戻した経験は誰にでもあり、医療がなければ健康な生活が営めないことは誰しもが疑う余地はないであろう。一方で医事紛争、医療過誤については、テレビ、新聞などで多くの情報が流布され、その内容が悲惨な結果であるほど大々的に報じられており、近年ではこちらの方を目にする機会が多くなっているように思われる。国民、患者の安全を考えるならば、この報道はもちろん必要なものである。前回の報告書では現在の医療過誤に対するどちらかというと前向きな状況、政策を概観した。今回は現在の医療過誤問題に関して、比較的近年の法学の学術論文などを中心に、「医」と「法」の間に隔たりを覚えるような点を分類、検討し、今後、両者が埋めなければならない「狭間」について文献的考証を行なった。

2.方法

医療過誤にかかわる法学論文を中心に収集、検討し、医師の説明義務と患者の自己決定、因果関係、医療水準について体系的に考察を加えた。

3.結果と今後の課題

医療過誤にかかわる個別の論点について、「医」と「法」の間には見解の相違を見いだすことができたと思われる。この見解の相違は、ひとえに双方に「知らない」部分が多いことに起因していると思われる。その結果、現在、インターネット上ではEBM(Evidence Based Medicine 科学的根拠に基づく医療)を、PBM(Precedent Based Medicine 判例に基づいた医療)、もしくは JBM(Judgment Based Medicine 司法判断に基づいた医療)と揶揄しているものまで目にすることがある。このようなゆゆしい事態は医療過誤の減少、被害者救済、医学、医療の発展には全く貢献せず、誰しもが望んではいない。今後も更なるの学際的な議論の発展が急務であると思われる。



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