2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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92必要があるだと思います。 こういう例があります。10年前に農水省の補助金を使って地域の田畑を整備しました。そうするといろいろな規制があって、そこに住宅を建てて活性化しようとすると、それはノーとなるのです。「補助金を使ったから、そこの宅地化は絶対無理です」と。地方できちんといろいろなことを考えているのだから、もっと規制のレベルを下げて、それを縛らない方がいいと思います。全部がそのような規制で固まっていては何ともならないのです。足助町が豊田市に入った時に、私はいろいろな意味合いから、今の特区のようなものを申請してほしいと市に申し入れたのですが、そのとき市の担当者には「足助町時代にやっておいてください。市になってからは困ります」と言われました。しかし、10年たった今では「ちょっと特区を申請してみようか」という話になってきているのです。 このように、やはり行政が動かないと何もできないのです。逆に言えば、先ほどの辻先生のお話にあったように、医師会と行政が動けば地域包括ケアはすごくうまくいくのです。それは間違いありません。だから、行政にどれだけ力がためられるかです。別の言い方をすると地域包括ケアについてうまく行政にエデュケーションできるか、ということがこれからは大切です。ここでいう行政とは地域の行政です。幸い、豊田市は中核市なので、優秀な行政マンが多いのです。だからこそ動くのですが、小さな山奥の行政に話を持っていっても、「そんなことはとても無理です。できません」となる。「私らが全部ノウハウを提供しますから」と言ってもやれないのです。そこで、例えば東海地方局にいる人たちがそこへ出向してくるとか、いろいろな試みも行われていますが、まんべんなくやるのは難しいのでしょうから、やはりうまくいか

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