2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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52がかねてよりやりたかったことだ」と涙ぐまれていました。その先生が医師会に返り咲き、「私が副主治医をやるから若い先生もやってみよう」とおっしゃってくださったので、主治医・副主治医のグループ化を実践してみました。すると、副主治医の出番が限られることが分かりました。昔の小児科の往診と違い、在宅医療の場合は、先々何が起こるかがだいたい分かります。医師は先を読んで動くので、副主治医の出番は非常に少ないことが分かったのです。(2)退院時の情報フォーマットの必要性また、退院時に病院から出る情報のフォーマットが柏市内に存在しないことが分かりました。がん末期をモデルとしてやってみましたが、病名と薬くらいの情報は出ていますが、在宅で看取りをする意志の有無や、家族の在宅療養の修練度などの情報を病院から出してもらわないと動きにくいことが分かりました。そこで、市役所が事務局となり、10病院が集まり、フォーマットもつくりました(図5)。大変でしたが、窓口のメディカルソーシャルワーカーが病棟の医師と看護師との間に入りました。こうして地域の多職種と病院の間の信頼関係も生まれていきます。退院元の病院がバックアップ病床を担うというルールも決まっていきました。(3)信頼関係を培う「顔の見える関係会議」これらのことを通して、地区医師会と様々な多職種の団体の間に信頼関係ができます。それをさらに普及するため、「顔の見える関係会議」の開催を医師会が提案してくれました。1回に約150人、多職種が集まります。必ず医師が入り、グループワークをやります。年4回で8回やりました。柏プロジェクトのス

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