2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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100なれます。私の話の勢いに乗った辻先生には叱られそうですが、今日はたぶん血圧が高いので“アジ演説”をやり過ぎている可能性があります(笑)。ですから、もう少しトータルに人間の生活にお医者さんが入り込んでくれて、例えば「今日は講演に行くので、薬はなしでどうでしょう?」と言ってくれたら…。まあこれは冗談ですが、そのようなことがこれからの選択のあり方に関係していると思います。 もちろん、最終的には本人が納得して選択をしないといけません。「強制的に」という時代はもう終わったと思います。しかし、プロがさまざまな工夫を凝らして正しい方向に導いてくれるのが、よい社会ではないかと思います。「選択」を患者に委ねるのではなくプロがプロとして教育していくことが大事早川:本当におっしゃる通りで、おこがましいと思わずに、医療においてもプロとしてエデュケーションすることが非常に大事だと思います。病院でもインフォームドコンセント((*(*が浸透していますが、選択を患者に委ねるものだと間違って理解している人も中にはいて、「こういう治療がありますよ。どれを選びますか?これはどれだけのメリット・デメリットがあります。選択しなさい」などと言うわけです。 でも、そこの中にも強弱は当然あって、外科系の先生だったらオペに回すような強弱をつけるし、内科であればそうではないようにするというように、ある意味、恣意的なところがあります。それを間違ったデータを使って言うのは(*22)宇沢弘文(1928―2014)経済学者、東京大学名誉教授。

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